白い雪が降り積もるように
追いかけた先は雪が残る庭園で、使用人達が一ヶ所を囲っていた。
その真ん中には雪の上に蓬條依良を押し倒して首にナイフを当てる良威とこちらに背を向けるように立つ男が一人。
良威を止めようと説得する玖下さんと達也さん。
「お止めください、良威様!」
「良威!」
良威は声が聞こえていないかのように、目の前の蓬條依良しか見ていない。
そして、ナイフを当てられている蓬條依良は感情を無くしたように無表情だった。
「良いぞ、良威。殺れ、殺ってしまえ」
ふと、背を向けている男が声を発した。
その声は聞いたことがある。
「日下さん……?」
無意識に聞き覚えのある声の主を呼んだ。
私の声が聞こえたのか、その人はこちらを振り返る。