白い雪が降り積もるように
「良威、殺れ。お前が殺れば、次はお前が頭首だ。彼女も手に入るぞ」
その言葉に良威は肩を揺らし、口角を持ち上げた。
そして、右手に握られたナイフを引いた。
誰もが蓬條依良の首から血が吹き出すことを想像した。
でも、それは想像でしかなかった。
「良威様……、いけません……」
千早さんがそのナイフの刃を握っていたから。
いつの間に近づいてたの?
でも、そんなことより……。
「千早さん!」
我に返った私は玖下さんと達也さんと一緒に千早さん達に駆け寄った。
達也さんが良威を蓬條依良から引き剥がすと、玖下さんに支えられながら彼は身体を起こした。