白い雪が降り積もるように
私と玖下さんは反射的に臨戦態勢を取った。
でも、そんな私達を避けて、蓬條紗良は弟の目の前に立つ。
「そんなことをしても、お前は蓬條を継げないぞ」
「なら、アンタも殺す。そうすれば、俺が跡取りだ!」
「何度も言わせるな。お前は継げない」
「何故だ!俺はアンタの弟で、蓬條家の長男──」
「お前は私の弟でも、蓬條家の子供でもない」
蓬條紗良の言葉に時間が止まったように静かになった。
蓬條圭二が蓬條家の子供じゃない。
それは玖下さん達使用人はもちろん、蓬條依良や良威も知らなかったようで驚いていた。
でも、真実を知っている達也さんは辛そうな顔をしていた。