白い雪が降り積もるように


「蓬條家の子供じゃないってどういう意味だよ……?」




蓬條圭二は声を震わせながら彼女に掴みかかったけど達也さんにその手を掴まれ、雪の残る地面に倒されて腕をひねあげられた。





その一瞬の出来事に、達也さんにも常人とは思えない気迫を感じる。




「達也、良い。圭二の手を離してやれ」




蓬條紗良がそう命じると、達也さんは蓬條圭二のひねりあげていた手を離した。






腕が自由になった彼は腕を擦りながら姉を見上げた。





「父さんと母さんはこの事をお前に話すなと言っていたが、 お前もいい大人だ。知っておくべきだろう、自分の身の上を」





「…………………」





「まず、お前の実の親はもうこの世にいない。と言っても、父親は最初から居なかったようだがな」




「父親がいない?」





「お前の母親は私の母の妹だ。そんな彼女が身籠ったのは妻子ある男の子供だったんだ」




妻子ある男の子供。




つまり、不倫関係の末に出来たということ。





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