白い雪が降り積もるように
「……誰も甘えないとも泣かないとも言ってない」
私の言葉にクスリと笑うと、彼はもう一度しゃがんで私を抱き締めてくれた。
「不器用だね、君も」
慰めるように背中を叩く彼の手のリズムが心地よい。
シャツ越しに感じる彼の温もりが心地よい。
彼の腕の中が心地よい……。
私は彼の腕の中で子供のように泣いた。
そんな私を彼はただ抱き締めてくれていた。
「──泣き止んだ?」
それからどれくらいそこで泣いていたか分からない。
でも、あれだけ人がいたのに疎らになっているところを見ると大分時間が経ったようだ。
「泣き止んだ……」
もう目も腫れぼったいし、鼻もヒリヒリするし、喉もガラガラだ。