白い雪が降り積もるように
「認めない。依良は跡取りだ、跡取りの嫁が中卒の娘なんて言語道断だ」
私は高校を中退しているから、最終学歴は中卒となっている。
そんな私が日本が誇る名家、蓬條家の嫁であって良いはずがない。
自分の学歴の無さに腹が立ち、俯いた。
「……私は君が嫌いだから言っている訳じゃない。むしろ、依良の嫁になってもらいたいくらいだ」
でも、彼女の言葉に顔を上げた。
視線の先にいたのは今まで私が見たことが無いくらい穏やかな蓬條紗良だった。
「だが、ただでは認められない。私の要求が飲めないなら此処を出ていけ」
穏やかな顔とは裏腹に、彼女の言葉は厳しい。
蓬條依良と結ばれるチャンスが目の前にある。
ならば、その要求を飲まなくてどうする?
「……その要求は?」
私の言葉に、蓬條紗良はクスリと笑って要求を口にした。
それは今の私には過酷なものだった──。