白い雪が降り積もるように
8.澄み渡る空
その夜。
私達は昼間いた場所の近くにあるホテルに泊まることになった。
でも、
「申し訳ありません。只今部屋は一部屋しかご用意出来ず……」
雪が多く降ったせいか、スキー客が多く滞在しているらしく、一部屋しか空いていなかった。
でも、彼はその一部屋に泊まることを決めたしまった。
部屋は和室で、入ってすぐに畳のい草の良い香りがした。
「もう疲れた。もう寝たい……」
蓬條依良は部屋の真ん中にあるテーブルの前に座ると突っ伏す。
確かに慣れない雪道のせいか足に疲労感がある。
私はキャリーケースを入り口の傍に置いて、部屋の中に入った。
「寝る前にお風呂に浸かった方が良いよ。露天風呂あるみたいだし……」
「んー」
「私、入ってくるからね」
「んー」
生返事の彼に呆れながらも私は備え付けの浴衣とタオルを持って、部屋を出た。