白い雪が降り積もるように
「ねぇ、そっちに行っても良い?」
私がそう言えば、彼は布団を上げて私が入るスペースを作ってくれる。
そこに移動すれば、私は彼の方を腕の中へとすっぽり納まった。
彼の温もりが、腕が何よりも落ち着く。
「急に甘えん坊になった」
「そういう貴方もデレてるよ」
反論すると、照れたように彼は額をグリグリと私の頭に押し付けてきた。
……こういうことをするからデレたって言われるんだよ。
そんな彼の仕草も愛しい。
そんなことをされると離れたくなくなってしまう……。
「ねぇ、名前で呼んで?」
私の名前を呼ぶ彼の声を心に刻みたかった。
「冬雪」
ぎこちないけど、その声に呼ばれると自分の名前が特別なものになったように思える。
「……ありがとう、依良」
さりげなく名前を呼ぶと、彼も嬉しそうに私を抱き締めてくれた。
「……それ、反則」
依良は項垂れたように息を吐くと、私の額にキスする。
反則?何が?
その日。
私は誰よりも愛しい人の腕の中で安らぎを得た子供のように眠った。