白い雪が降り積もるように


ふと、コートのポケットに違和感があった。




ポケットに手を入れて、それを取り出してみる。





それは細長い箱で蓋をはずしてみれば、中に雪の結晶のモチーフがついたネックレスが入っていた。





そして、そのネックレスには雪の結晶のモチーフの他に、小さなトルコ石のついた指輪がチェーンに通されている。





トルコ石は12月の誕生石。




一体、これは……。




すると、箱の底に手紙が入っていた。




開いてみると、




≪必ず迎えに行くから待ってて≫




癖のない綺麗な文字で書かれた短い手紙。




それはもう誰からなのか分かっていた。




私はそのネックレスを首につけると、そっとそれに触れた。




待ってるからね、依良……。





愛しい人の姿を思い浮かべながら私は窓の外を見やる。





空は蒼く何処までも澄み渡っていた──。







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