白い雪が降り積もるように


「むー、分かったよー」




「良い子だね、紗也」




頬を膨らませながら頷いた紗也様はもう一度蓬條依良に頭を撫でられて、くすぐったそうに笑った。




「じゃあ、学校に行く前にもう一回来るね!」




笑顔で部屋を出ていた紗也を見送ると蓬條依良もベッドから降りて、窓際に立った。





その姿は何処か悲しげで、憂いを帯びた表情は彼が何かを抱えているように見える。





蓬條依良が高校に行っていない理由……。





これは蓬條に復讐するためのヒントになるかもしれない。





この後、紗也様は宣言通り学校に行く前にもう一度蓬條依良の部屋を訪れたようだが、既に彼と玖下さんと私は場所を移動しており、会うことはなかった。






他の使用人が言うには頬膨らませて、拗ねながら学校に行ったらしい。





でも、蓬條依良は「いつものことだから」の気にとめていなかった。




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