白い雪が降り積もるように
紗也様が部屋を出ていくと、蓬條依良は鳩尾の辺りを押さえながら身体を起こした。
「紗也には参るな」
「でも、そんな紗也様を甘やかしていらっしゃるのはどなたですか?」
「俺……かな……?」
玖下さんの少しトゲのある言葉に、彼は苦笑いだ。
蓬條依良は年の離れた妹が可愛いようで、少し甘やかしているようだ。
まあ、あれだけ可愛ければ可愛がるのも分かる。
私も妹の秋葉のことは可愛かったし、末っ子だったせいか皆から可愛がられていた。
……蓬條依良から紗也様を奪ったら、彼は絶望するだろうか?
私を殺すくらい憎むだろうか?