白い雪が降り積もるように
すると、上着の袖を引っ張られる。
視線を下に向ければ、そこにはいつの間に現れたのか紗也様がいた。
「篠田さん、お兄ちゃんのことよろしくね!」
「……っ」
無邪気な満面な笑みに、心が痛んだ。
同時に妹の秋葉の小さい頃の姿が紗也様に重なる。
駄目だ、この子は奪えない……殺せない……。
「かしこまりました」
そう答えるのがやっとだった。
理由は分からないけど、それを言うのにも声が震えた。
「うん、ありがとー!じゃあ、行こ!天気良いし、庭に行こ!」
紗也様は私の手をグイグイと引っ張って、歩き始めた。
その手はあまりにも小さく……。
命を奪ってはいけない程、暖かかった……。