白い雪が降り積もるように
「私はれっきとした男ですよ」
声に動揺が移らないように気を付けながら否定すると、紗也様は不思議そうに頭を傾げた。
可愛いと感じられるその仕草も、今は怖く感じる。
やはり、この子も蓬條紗良の娘なんだと感じさせられる。
「紗也。それ以上、篠田君を困らせないの」
すると、これまで本を読んでいた蓬條依良が仲裁に入った。
仲裁と言っても本を読んでいるままだから、そんなにこちらの話には関心はないのだろう。
でも、今まで彼の言うことをきかなかった紗也様が素直に言うことをきいて、元いた椅子に座った。
私には分からないけど、紗也様には何か感じたのだろうか?
ふと、サンルームの外側に面する方のガラス戸が開いた。