白い雪が降り積もるように
「申し訳ございません。護衛にあるまじき失態です」
「俺より紗也を守った判断は正しいよ。それがなかったら、これを見れなかったからね」
殺されかけたというのに、依良様は平静としている。
依良様は……依良は悲しすぎる人間だ。
自分を大事にせず、誰かに死を望まれて殺されるならそれを受け入れてしまう。
でも、自分の大切な人の生死には敏感で……。
『玖下、お前が死にたいと願うなら俺はお前に生きたいと思える理由を与える。だから、俺を裏切るな』
前に依良が悲しげに言った言葉が脳裏に浮かぶ。
もうあれから三年が経つのか……。
そう感慨に耽っていると、いきなり脇腹をどつかれる。