白い雪が降り積もるように
なら、何故私を呼んだのだろうか?
そんな疑問を抱いていると、紗也様が漢字の書き取りをしながら問いかけてきた。
「篠田さん」
「はい?」
「篠田さんはお兄ちゃんが嫌いなの?」
子供の無邪気な問いが返答を困らせた。
嫌いだという感情よりも憎いという感情が強いけど、嫌いというのも間違いではない。
でも、此処で肯定してしまえば、蓬條依良の世話係を外されるかもしれない。
かといって、否定するのも……。
返答に困っていると、鉛筆を置いた紗也様が私を見上げてきた。
「好きでも嫌いでもどっちでも良いけど、でも、お願いがあるの」
「?」
「お兄ちゃんを守ってあげて」
蓬條依良を……?
意味が分からない。