白い雪が降り積もるように


なら、何故私を呼んだのだろうか?




そんな疑問を抱いていると、紗也様が漢字の書き取りをしながら問いかけてきた。




「篠田さん」



「はい?」



「篠田さんはお兄ちゃんが嫌いなの?」




子供の無邪気な問いが返答を困らせた。




嫌いだという感情よりも憎いという感情が強いけど、嫌いというのも間違いではない。





でも、此処で肯定してしまえば、蓬條依良の世話係を外されるかもしれない。





かといって、否定するのも……。





返答に困っていると、鉛筆を置いた紗也様が私を見上げてきた。




「好きでも嫌いでもどっちでも良いけど、でも、お願いがあるの」




「?」



「お兄ちゃんを守ってあげて」




蓬條依良を……?




意味が分からない。





< 72 / 422 >

この作品をシェア

pagetop