白い雪が降り積もるように


「お久し振りです、拓実さん。今日は仕事はお休みなんですか?」




「いや、これから裁判が入ってるから仕事に向かわないといけないんだ」




拓実さんは弁護士をしている。




お姉ちゃんとは高校の先輩と後輩同士で、今年の春に大学を卒業したお姉ちゃんは彼と9月に結婚するはずだった。





誰よりも幸せで綺麗な花嫁になるはずだったのに、あの事件のせいでそれは叶わなかった。




それどころか、たくさんの機器と管を身体に繋がれるしか生きる術がない姿になってしまった。




私の言葉に拓実さんはそう答えると私達を手招きして近くに来させると、お姉ちゃんに向かって声をかけた。





「春陽(ハルヒ)、冬雪ちゃんと秋葉ちゃんが来てくれたよ」




優しい彼の声に、お姉ちゃんが反応することはなかった。




ただ、目を閉じているだけだった。





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