白い雪が降り積もるように
身内のいない私達姉妹の頼りは彼しかなく、それが彼の負担になっていると分かっている。
でも、彼は嫌な顔せず、『愛する人の愛する人を守るのも愛される人がするべきだから』と言ってくれていた。
「それは気にしなくて良い。それより、冬雪ちゃん、秋葉ちゃんから聞いたけど蓬條に使用人として働いてるんだって?」
すると、話題が変わり、私の話へと移った。
……秋葉、拓実さんに話しちゃ駄目って言ったのに。
拓実さんは険しい顔をしながら私の肩を掴んできた。
「何故、蓬條なんかに……。まさか、仇討ちとかじゃないよね?」
「……そうじゃなかったら、蓬條になんて働きに行きませんよ」
「冬雪ちゃん、蓬條は駄目だ。勝てるはずない。蓬條の裏には──」
「勝てる勝てないは関係ない!何も奪われてない私がやらないといけないの!」
お父さんとお母さんは命を奪われた。
お姉ちゃんは幸せを、秋葉は自由を奪われた。