白い雪が降り積もるように
「え、依良様?」
その男の人の声は荒いが、蓬條依良に似ていた。
「さぁな。てか、アンタ、誰?」
この人、私が誰か知らずに話してたの?
まあ、薄暗いから分かるはずもないよね。
「私は篠田冬季です。新しく依良様の世話係を任せられました」
不服ですけどね。
自己紹介をすれば、彼は興味無さそうに「ふーん」とだけ答えた。
……アンタが聞いたのに、興味ないのか。
てか、アンタは自己紹介しないのか?
若干苛立っていると、男の人は諦めたのか元いた場所に戻っていく。
「……出ないんですか?」
「無駄な労力は使わない。それに、直に助けは来る」
「そうとは限ら──」
すると、私の言葉を遮るようにドアが開いた。
そこには蓬條依良と紗也様、達也さんと大中小が立っていた。