白い雪が降り積もるように
良威(ライ)?
それが彼の名前だと理解するのに時間はかからなかった。
「相変わらず、あのババァそっくりの冷血漢だなぁ」
肩をすくめながら蓬條依良に近づいた彼を、蓬條依良と冷めた目で見る。
「良威、お前も相変わらずだな」
二人が醸し出す雰囲気は良く似ている。
お互いを嫌悪しているように感じるが、良威と呼ばれた彼の方が蓬條依良を強く嫌悪しているように感じられた。
「篠田さん、大丈夫ですか?」
二人に挟まれ気味の私を心配してか、玖下さんが隣にやって来た。
「玖下さん……。あの、彼は……」
「ああ、会うのは初めてでしたね。あの方は蓬條良威様、依良様の双子の弟君です」
双子という単語に彼らが瓜二つの顔をしている訳が分かった。
蓬條良威──、彼が現れたことにより、私の復讐の方向性が大きく変わるとはこの時は思ってもいなかった……。