白い雪が降り積もるように
「何、お前」
「紗也様が怖がっています。近付かないで下さい」
「何……?」
そう言えば、蓬條良威の声がワントーン落ちた。
おっと、これは逆ギレされるパターンかな?
私の隣では玖下さんが目で「謝ってください」と訴えてくるが、謝るつもりは毛頭ない。
「篠田冬季だっけ?俺に指図するのか、使用人の分際で」
「私が仕えているのは依良様であって、貴方ではありません。それと、使用人をぞんざいに扱うのは如何なものかと」
私が嫌々でも仕えているのは蓬條依良であって、蓬條良威ではない。
それに、使用人がいなければ、この家は成り立たないだろう。
なのに、そんな分際なんて言葉で言われて良いはずがない。