白い雪が降り積もるように


「言わせておけば……っ!」





あ、逆ギレパターン。




避けた方が良いかな?



でも、避けたら紗也様が危険だしなー。




痛いけど、大人しく殴られるか。




私は拳を振り上げてきた蓬條良威の攻撃を避けることなく、待っていた。




骨と骨がぶつかる鈍い音がした。




でも、痛みはない。




その代わりに視界いっぱいに広い背中が映っていた。




華奢だけど、広い。




そんな背中が目の前にあった。




「良威、少しお痛が過ぎるよ」




背中の主──、蓬條依良は冷たい雰囲気を出しながら弟を見ている。





身体をずらして彼の顔を見れば、右側の頬が赤くなり、口の中が切れたのか口の端が切れたのか血が口から流れていた。




何故、私を庇った……?




自分が痛い思いをして、庇う必要があった?






< 97 / 422 >

この作品をシェア

pagetop