白い雪が降り積もるように
「言わせておけば……っ!」
あ、逆ギレパターン。
避けた方が良いかな?
でも、避けたら紗也様が危険だしなー。
痛いけど、大人しく殴られるか。
私は拳を振り上げてきた蓬條良威の攻撃を避けることなく、待っていた。
骨と骨がぶつかる鈍い音がした。
でも、痛みはない。
その代わりに視界いっぱいに広い背中が映っていた。
華奢だけど、広い。
そんな背中が目の前にあった。
「良威、少しお痛が過ぎるよ」
背中の主──、蓬條依良は冷たい雰囲気を出しながら弟を見ている。
身体をずらして彼の顔を見れば、右側の頬が赤くなり、口の中が切れたのか口の端が切れたのか血が口から流れていた。
何故、私を庇った……?
自分が痛い思いをして、庇う必要があった?