白い雪が降り積もるように
「お前は何がそんなに気に入らない?何故、そんなに荒れる必要があるんだ」
「うるせぇよ!依良、テメェには分からねぇよ!劣るところがない、蓬條の跡取りのお前には俺みたいな≪替え≫の気持ちは分かんねぇよ!」
悲鳴にも似た蓬條良威の声が広い廊下に響く。
≪替え≫?
もしかして、蓬條良威は蓬條依良の──。
すると、蓬條依良は短く息を吐き出した。
「そんなに蓬條の名が欲しいのか?」
「あ、あたりめぇだ!」
「なら、くれてやる」
蓬條依良の言葉にその場にいた人全員が動揺した。
「い、依良様、何を仰っているのですか!?蓬條の頭首は貴方様以外には──」
「玖下、黙れ」
説得しようとした玖下さんを、蓬條依良は低い声音で一喝する。
彼の発する威圧感に玖下さんは黙ると、口を固く結んだ。