こくおうさまのすきなひと
なんて綺麗なドレスなんでしょう……。
これを国王様が、私の為に作らせたなんて信じられない。
支度を終えて部屋で待っていると、扉を叩く音が聞こえた。
ティアが扉を開くと、国王様が正装姿で立っている。
軍服ももちろん似合っているけれど、正装姿の国王様はより美しい。
「とても似合っているな。き、綺麗だぞ、ミネア」
「ありがとうございます、アルス様。私の為にわざわざ申し訳ございません」
「ミネアが喜んでくれたならそれでいいんだ。……では、参ろう。招待客は既に会場で、今か今かと待ち受けている」
「――はい」
差し伸べた手に自身の手を重ね、ゆっくりと歩を進めた。
毎夜手を繋いで寝ていた事もあり、国王様の手に触れる事に抵抗はない。
むしろ触れた事でとても安心出来る。
国王様も同じ気持ちかしら。
もし同じであったら、……とても嬉しい。