こくおうさまのすきなひと
「アーネストは鉱物が豊富に摂れる国。その国と我が国が手を結んだ事により、アーネストはさらなる発展が期待出来るだろう。皆にはますます忙しく動いて貰う事になるだろうが、どうかこの国の為尽力して頂きたい。なお、正式な婚式は約半年後。その際はそなた達にも出席してもらう事になるだろう」
国王様の話に、貴族達からは驚きの声が上がった。
どうやら貴族たちは、アーネストと同盟を組んだ話を知らなかったらしい。
アーネストは資材の豊富な国である事を知っている者もいるらしく、期待の声も聞こえてくる。
「私からは以上である。さあこれからは時間の許す限り、この場を大いに楽しもうではないか!」
その声と共に音楽が鳴り始め、貴族達は拍手を一通りした後、それぞれその場から動き出し、賑やかさを取り戻した。
「王妃様はこちらへお座り下さい。只今ジュースをお持ち致します」
横で待機していたロバートが、玉座の隣に置かれた椅子に座るよう促し、従って座る。
国王様も玉座に深く腰を掛けると、ふう、と息を吐いた。
「大勢の前で話すのはどうも慣れなくてな。終わるたびにどっと疲れてしまうよ」
そう言って、ふっと笑みを零した。
ドキリと心臓が跳ねる。
何気ない話を私に振ってくれるのが、とても嬉しく感じた。