こくおうさまのすきなひと

――夜会は和やかに進む。

初めてという事もあり、貴族達は挨拶をしようと軽く列を成していた。


ひとりひとり、丁寧に接する。

なるべく悪印象を持たれないように、笑顔と優しい言葉を心掛けた。



「――久しぶり、兄さん」


一通り挨拶が終わり人の列が途切れると、ひとりの男性がそう国王様に声を掛けた。

国王様はその男性を見るなり、顔が綻ぶ。


「おお、ロアか。今着いたのか」

「遅くなってしまってすまなかったね。母からの頼まれ事をこなしていたら、遅れてしまったんだ」

「ミネア、紹介しよう。私の弟であるロアだ。今年で18歳を迎える。今は母と共に別荘の方で暮らしているんだ」


「お初にお目に掛かります、ロア様。お義母様もいらっしゃっているのですか?」


18歳って、私と同じ年なのね。

それにしてはやたらと大人びいて、国王様に似てとても眉目秀麗。

どちらかと言うとロア様の方が、優しい顔立ちではあるけれど。


きっとこの一家は、全員が美男美女なんだわ……。


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