こくおうさまのすきなひと
「姉さん、と呼んだ方がいいのかな?これからよろしくね。母は半年後の結婚式の時に来る事になっているから、その時また改めて紹介するよ」

「なんだ、母上は来ていないのか」

「あちらで友人達を招いての会食があるらしくてね。だいぶ気楽に生活してるよ。ここにいた時よりも生き生きとしているかな」

「ハハッ、さすが母上だな」


そう言って国王様は笑った。

声を出して笑う国王様を見たのは初めてで、思ったよりも無邪気に声を出して笑うものだから、そのギャップに少しときめいてしまう。


「ところでさ、兄さん達は踊らないの?」

「うん?……いや、それはまあ」


「踊ってきなよ。参加した人達もふたりの踊る姿を見たがっているだろうし」


ロア様は私達を半ば無理矢理立ち上がらせ、ダンスフロア―へと行くように促した。

私達が立ち上がった事で、曲を奏でていた奏者が察したのが、今までの曲とは別のものを演奏し始める。

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