こくおうさまのすきなひと
顔を洗い、ティアに軽く化粧をしてもらう。

髪はひとつに編み、後ろで纏める。

先週までは少女のようなふわっとしたピンクのドレスも、18歳になってからは落ち着いた淡い緑のドレスになった。


「お似合いですよ、ミネア王女」

「ふふっ、ありがとう。ティア」


支度を済ませ、食堂へと向かう。

食堂には既に国王である父と、王妃である母が席に座っていた。


「おはようございます、父上、母上。……あれ?アレイズとレイラはまだ起きていないのですか?」

「おはよう、ミネア。アレイズとレイラは訳あって今日は部屋で朝食を摂っている。さあ、早く席に座りなさい。ミネアに大事な話があるんだ」

「……?そう、ですか」

父に促され、私は自分の席へと座った。


アレイズとレイラは私の弟妹(きょうだい)。

2歳下のアレイズは、私と違って要領も良く頭も切れる自慢の弟で、アーネストの次期国王として申し分ない。

7歳下のレイラもまだ幼さは残るが、将来とても美しくなるであろう素質を兼ね備えている。


正直私は、弟妹に比べると特に秀でるものはない。


全てが平均的。

顔は人並みだし、頭も悪くもなければ良くもない。


アレイズ達が成長していくにつれ、どうして私だけ……、と多少コンプレックスに感じる事もあったが、最近は自分は自分、弟妹は弟妹だ、と思えるようになり。

きっとそう考えられるようになったのも、大人になった証なんだろう。
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