こくおうさまのすきなひと
そのため息は、自分の自覚のなさへの呆れ。
どんなに忙しく疲れていても、ちゃんとした時間に起きなければならないのに。
起きて、国王様を見送らなければいけないのに。
なのに私ったら呑気に、こんな時間まで寝てしまって……。
「駄目ね……。このようではこの国の恥となってしまうわ」
これではいけないと、両頬を叩き、自分に喝を入れる。
思ったよりも強く叩いてしまい、ひりひりと頬が痛んだ。
でも、駄目な王妃だと言われて心が痛むよりは、何倍もましな痛み。
この痛みを忘れず、これからは一層、気を引き締めなければ。