こくおうさまのすきなひと
ノック音のあとに、扉が開かれる。
「――失礼します、王妃様」
開かれた扉の方へと目を向けると、そこにはティアと、国王様の弟であるロア様が立っていた。
「昨日あまりお話出来なかったからといらっしゃったのですが、お部屋へお通ししてもよろしいですか?」
「ええ、構わないわ」
「おはよう、姉さん。良く寝られた?」
「おはようございます、ロア様。ええ、それはもう申し訳なく思うくらいに」
ティアはロア様に向け一礼をし、中へと引き入れる。
ロア様はティアにありがとう、と一言返すと、部屋の中を興味津々に見渡しながら、ソファーへと腰掛けた。
「へえ、かなり様変わりしたね。父さん達が使っていた時は、結構殺風景だったから。これは姉さんの趣味?」
「いいえそんな……!私も初めて入った時に驚いたのです。まさかこんなに乙女調なお部屋だとは思わなくて」
「じゃあ、少し居心地が悪いでしょ?そういうのちゃんと言った方がいいよ。心の内に留めていたら、いつか爆発しちゃうからね」
そう言ってロア様は笑った。