こくおうさまのすきなひと


まだ幼さの少し残る表情ではあるけれど、さすが国王様の弟、とても良く似ている。

そして私の弟であるアレイズにも、どこかしら雰囲気が似ていた。

この感じ、とても懐かしい。


心の中がほわりと温かくなる。



「今日の午後にはここを経つからね、その前に少し話でもと思ってさ。どう?少しはこの国に慣れた?」

「ええ。少しずつですけど。ここの方達がとても優しくて助かっておりますわ」


「いいよ、そんなに改まって話さなくても。義弟(おとうと)、なんだしさ。あっちに弟がいるんでしょう?同じように話してくれて構わないよ」


私達の前にティアが用意した紅茶が置かれる。

ロア様は置かれるなり、すぐ手に取って口元へと運んだ。


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