こくおうさまのすきなひと
それと、私とどういう関係があるのだろうか。

似た話は、家族全員でいる時も普通に話しているのに。


多少疑問に思う。


「それで、ここからが本題だ。アーハイムと同盟を結ぶ証として、こちらからミネア。お前をアーハイムの正妃として嫁ぐ事が決まった」


「……ひあっ!?」

予想だにしない言葉に、思わず奇声を上げてしまった。


わ、私がアーハイムの王妃になる!?
どうして!?

「な、なぜ私が……?」

「アーハイムの現国王であるアルス様はな、前国王の急な崩御により結婚をしないまま国王になっているんだ。アルス様は今22歳。18歳になったお前とそう年も変わらない。あちらも身分相応な相手を早急に見つけねばいけないし、その点からもミネアが一番妥当だと思ってな」


「悪く思わないでくれ」と続けて父は言う。

母も申し訳ないといった悲しい瞳で、私を見つめている。

王女として生まれたからには、普通の恋愛が出来ない事はじゅうぶん分かっていた。

親の決めた相手と結婚をしなければいけない事も、もちろん。


だけど、それが現実として降りかかった時、これほどまでにショックを受けるとは思わなかった。

仕方がない。
けど、納得が出来ない。


しかしながら、そこに拒否権など存在しなかった。

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