こくおうさまのすきなひと
この国へ行く際に、アレイズに言われた言葉を思い出した。


あの時、私の耳元で言った言葉。



――『必ず俺が助けてやるから。それまで待ってて』――






アレイズはまだ諦めていなかった。



国や家族の状況が心配で、私の気持ちの変化を手紙に書いていなかったから、今私がどういう心境か分からないんだわ。



……早く手紙を返さなくては。


このままにしていたら、後々大変な事になる。


どうか、変な気を起こさないで欲しい。

今の私は、決して不幸だと嘆いてはいないから。



急いで机に向かうと、手紙を書き始めた。


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