こくおうさまのすきなひと
午後になり、貴族達との接見の為、国王様と共に接見の間へと向かう。
接見の間には既に何名かの貴族が、置かれている椅子に腰を掛け談笑していたが、扉が開かれ私達の姿が見えるなり、話を止め姿勢を正して、私達に深く一礼をした。
部屋の一番奥にある席に座るよう国王様に促され、腰を掛ける。
私が座ったのを見届けたあと、国王様もまた私の隣にある椅子に腰掛けた。
「皆揃っているな。では、始めようか。グラハム卿から、これまでの近況を教えてくれまいか」
「はい、早速。我がグラハムの――……」
最初はどういった集まりなのか分からなかったが、話を聞いていくうちに理解出来るようになる。
どうやらこの集まりは、領地を任された貴族達の働きを知る為のものらしい。
アーハイム国はとても大きい。
国王様ひとりでは隅々まで管理するのは不可能だから、国をいくつかに分け信頼ある貴族達に管理を任し、そこでの問題や庶民の状況など、定期的に集まっては聞いているようだ。
私がこの場に呼ばれたのも、この国の状況を知るのもさることながら、いずれ私も貴族達に対して発言をしていかなければならないからだろう。
子を成すだけじゃない。
政治にも関わっていかなければならないのが、正妃の役割。
私はひとりひとりの話を真剣に聞いた。
国王様の足手纏いにならないよう、部屋に戻ったら今日聞いた話を纏めておかなければいけないわね。