こくおうさまのすきなひと
「わ、かり、ました。その国へ行くのは、いつになりますか?」


そう答える私の声は軽く震えている。

父は私の言葉に、ホッとしたような表情を見せた。


「5日後だ。ここからアーハイムまで2日掛かるからな。何から何まで急な話で済まない。それだけ深刻な状況であると理解してくれ」


5日後……。


あまりにも早すぎると、もう少し伸ばして貰えないのかと言いそうになった。

けれど父の口ぶりにどうしても言えず、出かかった言葉をごくりと飲み込む。


「ごめんなさい、ミネア。本当は貴方には普通の恋愛をして、結婚して欲しかったのだけれど……」

「いいえ、お母様。これも王女として仕方のない事ですから」


「話はそれだけだ。……そうだ、アレイズ達にはこの話は内緒にしておいてくれ」

「え?あ、ああ。そうですね。確かに」


「なんせあの二人は姉離れが出来とらん。今知られると何かと面倒だ。当日アーハイムへ行く直前までは口外しないように、侍従達にも伝えておく」


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