こくおうさまのすきなひと
部屋へと着き、扉を開けようとした時だった。

慌ただしくロバートが、国王様の元へと駆け寄って来る。


「国王、少しお話が」


その表情は少し冴えない。

先程までにこやかな表情を浮かべていた国王様も、ロバートの表情を見て、一瞬で笑顔が消える。


「どうした、何かあったのか」

「実は……」


そう言うと、ロバートは私に内容を聞かれまいと、耳打ちのような形で話し始めた。

話の内容を聞いていた国王様の眉間に皺が寄り、一段と厳しい表情になるのが分かった。


「約束もしていないのに、なんて失礼な奴だ。断れ。会う気など一切ない」

「しかし、会うまでは帰らないと意地になっておりまして。何回もお断りしたのですが……」

「私は国王だぞ?国王の命であると、そう告げて追い返せ」


「ですが、我々共も手を付けられないくらいにとても興奮されておりまして……。あのままでは何をしでかすか分かりません。悪評など流されたりでもしたら大変な事になりますし……。私も出来ればお願いしたくはないのですが、ここは国王に収めて頂きたいのです」



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