こくおうさまのすきなひと
「……仕方ないわ。愛されないのだもの。でも、愛されない理由が分かったわ。アルス様には他に好きな方がいらっしゃったのね」
だから、私を抱かなかった。
国王様の心の中には、既に想う方がいたから。
今までの優しさは、全て作られたもの。
本当に愛する人を想いながら、きっと私と接していたのね……。
「ミネア王女、このまま一生この国で、辛い気持ちを抱えたまま過ごすおつもりですか?フライムとの問題が終われば、この結婚はなしにしてもいいはず。その時が来たら、アーネストへと帰りましょう。その方がミネア王女も幸せになります!」
「何を言っているの。私は一国の主と結婚したのよ?そんな事出来る訳ないわ」
「ならば逃げるのです!私は我慢なりません!このままミネア王女が悲しむ姿を、これ以上隣で見たくはないのです……!!」