こくおうさまのすきなひと
そんな風にティアが言うとは思わなくて、言葉に詰まった。


……逃げる?

王妃という肩書を捨てて、この場所から?


「無理よ。そんな事をしたら、私だけじゃない、アーネストが全て終わってしまうわ。いいの、私はこのままで」

「でも……!」

「ティア、もうこの話はしないで。これは私からの命令よ」



ティアはとても不服そうな表情を浮かべていた。

その顔を見ないように、ティアから視線を外し窓の方を見る。



逃げるなんて、出来っこない。

国を背負って来ているんだもの、私の想いだけで行動なんて出来るわけないんだわ。



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