こくおうさまのすきなひと
「姉さん、話ってなんだったの?」


朝食を摂り終え、部屋へと戻る途中でアレイズに声を掛けられる。

早く内容が知りたいと、青い透き通った瞳が私をじっと見つめた。


姉離れが出来ないと父が言っていた通り、アレイズもレイラも私をとても慕ってくれる。


特にアレイズに至っては、成長しても恥ずかしいくらいに、私の事を気に掛けて心配してくれるから、いい加減にしなさいねって思うくらい。


私が顔すら見たことのない男の元へ、しかも遠い異国の地へと嫁ぐ事を知ったら、アレイズもレイラもそれはもう荒れるだろう。


レイラはまだ幼いから大人の力で抑える事が出来るにしても、アレイズは無駄に頭が切れるから、この話を阻止すべくあらゆる手を使ってくるはず。


状況が状況なだけに、話をすれば分かってくれるのかもしれないけれど、カッと燃え上がった感情を冷静に戻すまでには時間と労力がかかる。



両親はそれを危惧しているのだ。



外見はもう大人として完成されつつあるが、中身はまだ子供な部分も多い。

だからこそ、当日までは隠し通さなければならない。


私は少し考えた後、アレイズに話した。


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