こくおうさまのすきなひと

多少の事は覚悟していた。

私の手を握り眠らなくなってから、私には近寄りがたいものがあるのだろうと。

けれどそれは、私が怒鳴ってしまった故の恐怖心から来るものであろうと。



……でも違う。


これは、"拒絶"、だ。


恐怖なんかじゃない、私自身を拒むもの。


「あ、あの……」


ミネアはハッとした表情で、私を見つめている。

私はミネアの顔を見れなくなり、下を向いた。

拒まれた手が氷のように冷たくなって、ジンジンと痛む。


「すまない、今日は自室へ行こう。私がいては気持ちよく寝られないだろう?」


冷え切って感覚の薄れた手をグッと握りしめて、ミネアの顔を見ないまま私は部屋を出た。



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