こくおうさまのすきなひと
「ただその数でこんなにも早く、攻撃を仕掛けてきた事がどうしても気になる。何か勝算があっての事か」

「それは手前にも分かりません。しかしフライム側の国境付近は平らではなく、でこぼこと高低差が多様にある地形で、フライム軍側はそれをよく把握し、上手く利用して攻撃を仕掛けております。アーネスト軍もそこは分かってはいますが、我が軍がそれに慣れていない。まだ負傷者はそれほどおりませんが、日を追えばその数は増えていくだろうと」

「救護出来る人間は?」

「アーネスト国の救護班の者達がそちらは総出で援護しておりますが、こちらも追加で合流した方がよろしいかと」

「分かった。明日早急に」

「ありがとうございます」


話を聞く限りでは、地形に慣れない我が軍が軽く見られた結果、という事か。

そう簡単に結論付けては危険だが、理由のひとつにはなっているだろう。


「あちらがそういった戦略でいくのならば、こちらは数で勝負するしかない。とにかく一般市民にまで危害が及ばぬよう、何としてでも今の場所で食い止め、早急に決着をつけるのだ。その為にはあらゆる手段も辞さない」


「はっ!承知致しました」

「それでよいな、ロバート」

「はい。全ては国王の仰る通りに」

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