こくおうさまのすきなひと
そんなこと、言える訳がなかった。
答えを聞いてしまったら、全てが終わってしまうと思ったから。
知らない間に、国王様の事をこんなにも好きになっていたとは思わなかった。
そして人を好きになるのが、こんなに苦しいものだとも。
想いが通じない事が、こんなにも激しい感情を生み出すものだという事も。
……そういえば、昔、母から聞いたことがある。
"恋"は、穏やかでもあり、かつ激しいものでもある、と。
想えば想うほど、炎のように燃え上がっていくもの。
それに比例して、醜い嫉妬の気持ちも少なからず生まれてくるものだ、と。
私の心の中の炎は、まさにそれだ。
醜い嫉妬の炎が、国王様を想う気持ちと比例して激しく燃え上がる。
とても、怖い。
そんな感情が私の中にもあるのだと思うと、恐ろしくて仕方がない。
だけど、諦められないの。
好きだという気持ちに気付いてから少しずつ大きくなって、どうしようも出来ない。
想いが叶わないとしても、それでも傍にいたいと思ってしまう。
触れて欲しくない、だけど隣にいたい。
私の心の中は、常に正反対の想いが交差していた。