こくおうさまのすきなひと
――コンコン。
扉が叩かれる。
「……姉さん?部屋にいる?」
その声はロア様だった。
フライムとの争いが始まった事を聞き、城に呼ばれたのだろう。
扉の向こうにいる人間がロア様だと分かり、ティアが部屋の扉を開く。
「……ロア様、いらっしゃってたのね」
「大丈夫?ずっとこの部屋にいるって聞いたから、気が滅入ってない?」
「いいえ、私は大丈夫。……それよりもロア様、その格好」
目の前のロア様の姿を見て、私は驚く。
左手に後に被るのであろう兜を持って、身体には重厚な鎧を纏い、背には深紅のマントを付けて、腰には長剣がぶら下がっている。
その姿は、いかにも騎士の格好だった。
……まさか。