こくおうさまのすきなひと
「国王様を信じて、か……」

「今は信じるしかないのですね……。国王様は私達の国の為に、これだけやってくれているのですから」

「……そうね、ティア」


ロア様の言葉が、頭の中をぐるぐると回る。



本音はこの状態で、どう信じればいいのかわからない。


ましてやあの時、私は国王様を避けてしまった。

あの一件で信頼も何もかも壊れてしまった気がするのは、私だけだろうか。


それでも国王様がここまでやってくれるのは、何の為?


国の名誉の為?

それとも……?



色々な想いが巡る。

だけど、今は信じるしかないのよね。


私は無力だから。

自分の国の為に、ただ祈る事しか出来ないのだから。


私はアーネストのある方角に向けて、祈りを捧げた。

どうか、この願いが届きますようにと。



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