こくおうさまのすきなひと
「……どうした、ミネア」
そんな状態にも関わらず、国王様は気遣うような仕草を見せた。
より私の心が苦しくなる。
「ああ、アルス様……。そんな状態になるまで、アーネストの為に……!」
自然と涙が溢れ、零れていった。
ぽたりぽたりと床の絨毯に染み込んでいく。
そんな私に、国王様は少し困ったような表情を見せた。
「泣くな、ミネア。全て終わったんだ。もう何も不安に思う事はないんだ。泣く必要などないんだぞ?」
「ちが……、違うのです。私は……」
――苦しいのです。
国王様がこんな状態になっているのに、支えてあげられなかった事が。
祈る事しか出来なかった自分がとても不甲斐なくて、胸が締めつけられるのです。