こくおうさまのすきなひと
「――失礼します、国王様」
扉が小さく叩かれ、扉越しに声を掛けられる。
ロバートが扉を開けるとひとりの騎士が立っており、ロバートに耳打ちをする。
それを聞きロバートは軽く頷くと、私の近くまでやって来てこう告げた。
「国王、アーネストよりロア様が戻られたようです。……ミネア様の弟様と共に」
「ミネアの弟?」
まさかミネアの弟がこの国へ来るとは思わず、少し戸惑う。
会いに来るにしても、もう少し落ち着いてからと思ってはいたが……。
こんなにも早く、どうしてミネアの弟がこの国へ来たのだろう。
「それで急なのですが、弟様のアレイズ様が国王と話がしたいと申されているそうです。いかがいたしますか?」
「話?」
……話とは一体。
しかし、待たせるのも良くはないだろう。
「分かった、すぐ会いに行こう」