こくおうさまのすきなひと
そう言ってロバートと共に部屋を出ていこうと、扉に手を掛けた時だった。

寝台から私を呼び止める声が耳に入る。


「アルス様……、どこに行かれるのですか?」


いつ目が覚めたのか分からないが、ミネアは上半身を起こし、不安そうな表情を浮かべて私を見つめていた。

ドキリと大きく脈を打つ。


「応接室に行くだけだ。ミネアはまだ病み上がりだろう?ゆっくり寝ているといい」

「誰かいらっしゃったのですか?」

「ロアと共にミネアの弟のアレイズが来ている。私に話があるそうだ」



「アレイズが……?」



名を聞いた途端に、ミネアの顔色が変わった。

眉間に皺を寄せ、まるで何かを危惧しているような……。


「どうした?心配するな、アレイズには少しここでゆっくりして貰って、ミネアの体調が良くなってから会わせる事にする。だからミネアは部屋で休んで……」

「いえ、私も一緒に行かせて下さい!身体はもう心配ありませんから!!」

「ダメだ。そんな状態でもし倒れたりでもしたら」


「お願いです、アルス様!!どうか……!!」


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