こくおうさまのすきなひと
――応接室。


ロバートが扉を開けると、部屋で待機していたアレイズが、その場で立ち上がり私達に向かって一礼をする。

アレイズの姿を見るなり、私の腕に絡めていたミネアの手に力が篭るのが分かった。


「顔を上げよ。そこまでかしこまる必要などない。楽に座りなさい」


そう言って、アレイズの向かいに座る。

アレイズは私達が座ったのを見届けた後、ゆっくりと椅子に腰を掛けた。


アレイズはじっと前を見据えていた。


やはり姉弟なだけあってミネアとよく似ている。

ただ少しその顔立ちがきつく感じられ、気が強そうに見える。


そう思うのは、まだアレイズが若いせいであろうか。

たまに私へと向ける視線は、どこかしら冷たいものであった。


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