こくおうさまのすきなひと
「まずは――……、これまでの事、大変ご苦労であった。急な指示や命令にも迅速に対応し、お陰でさほど負傷者も出さずに終わせる事が出来た。とても感謝している」


「……いえ、国王様。初めにこちらが感謝の言葉を言わなければなりません。アーハイムの力がなければ、我が国は存続する事が出来なかった。小さきアーネストを隣国の脅威から救って頂いて大変感謝しております。本来ならば私の父である現国王が来るべき所でしたが、まだ国内も落ち着いていない為、私が代理で参りました」


アレイズは私に頭を下げる。

しかし顔を上げた時の瞳はやはり、どこかしら鋭い。


「しかし、もう少し落ち着いてから来ても良かったのだぞ?礼などいつでもいい。同盟を結んだのだ、守るのは当たり前の事だろう」


「ですが今回の件は、我が国で最大の問題でありましたから、その問題が解決出来たのは何よりもアーハイムのお陰なのです。直ぐにでも感謝の言葉を伝えるのが必要であると、そう判断し参りました」


「そうか、そう思ってくれたのは非常に嬉しい。……だが、そなたがここに来たのは、礼を言うだけではないだろう?」


アレイズの身体がピクリと反応する。

隣に座っていたミネアが、明らかに動揺しているのが分かった。


何を企み、何を私に話そうとしている?

表情から見て、それは私にとって良い事ではないのは明らかだった。


アレイズは横に視線をずらし、唇を噛む。

だが直ぐに私へとその鋭い視線を戻し、そして口を開いた。


「では、単刀直入に言います。姉さん……、ミネア王妃との結婚を解消して頂きたい」


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