こくおうさまのすきなひと
……ああ、そうだ。
国王様はまだ、私の気持ちを知らない。
私自身もまた好きでいるなんて、思ってもいないんだ。
仕方ないわよね。
だって、想いを伝えていないだもの。
勝手に落ち込んで、国王様を拒否して……。
国王様から見たら、嫌いだと思われてもしょうがない事をしてきてしまったんだから。
でも、今なら言える。
信じて貰えるか不安だけれど、ちゃんと伝えるわ。
――この気持ちは本当。
国王様のたったひとつの言葉で、今までの辛い思いなんて吹き飛んでしまうくらいに、私の心の中は嬉しさで溢れてるんだから。
「アレイズ、貴方の気持ちはとても嬉しいわ。でも、前に送った手紙にも書いたでしょう?きっと上手くいくって」
「嘘だ!あれは姉さんの本当の気持ちじゃないだろう!?あれは無理矢理書かされて……」
「そんな訳ないじゃない。私は、私の本当の気持ちは……」
私は泣きながら、笑みを浮かべる。
そしてありったけの想いを込めて、言った。
「私もアルス様の事を愛しています……!アルス様の傍から離れたくはありません……!!」