こくおうさまのすきなひと
「まるで夢のようだ……。だが、触れるもの、感じるもの全てがこれは現実だと教えてくれる」

「ええ、アルス様。これは現実です。私もまだ夢のような感覚でおりますが、貴方の体温と唇の感触が、しっかりと私の身体に刻まれております」

「ああ、ミネア……!」


その感覚を確かめ合うように、国王様は私を抱きしめた。

とくとく、と国王様の早い鼓動が伝わる。


「今まですまなかった。隠し事をせず何でもミネアに話すべきであったと思う。ちゃんと話をしていれば、ミネアは苦しまずに済んだんだ」

「……聞いてもいいのですか?」

「もちろんだ。ミネアが聞きたい事は大体分かっている。エントランスで抱きしめていた女の事だろう?」


自然と身体がピクリと反応してしまう。


聞きたいけれど、怖い。

その思いが無意識に表れてしまった。

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